旧盆の頃
私が生まれ育ったのは会津盆地、田園風景が広がるのどかな農村でした
家から望む会津磐梯山はとてもきれいで、朝に夕にそのきれいなシルエットは子供心にとても誇らしいものでした
農村のしきたり、近所付き合い、それは結構大変だけれど、皆が共同で生きるための知恵が詰まっているように感じています。
そんな一つに、地域性が色濃く出る、お墓参りの行事がありました
ご先祖様はとても大事にされ、お墓参りは一年の中でも大きな行事です
村ごとにお墓参りをする日が決まっています。
実家は8月の11日がお墓参りです。隣村は7日だったり、母の実家は10日でした
なぜ、地域でお墓参りをする日が違うのかと言えば、お嫁さんも実家のお墓参りに行けるようにとの配慮が地域全体に有ったとの事でした
さてお墓参り当日は、当家の主人が墓状(地域によっては、佛棒)と呼ばれる塔婆の小型版をお寺さんから買い求め、線香、花、だんご、季節のご馳走を重箱に詰め親類縁者一同でお墓参りに行きます
お墓は村の共同墓地です、歩いても5分位の所にあります
お墓から望む飯豊連峰は、とても雄大でシンボリックです
この頃は周りの水田も出穂の頃で、黄味がかった稲がとてもきれいです
そんな墓場道を歩いていると、ご近所の家族とすれ違い、挨拶を交わしたり、懐かしい顔と出会ったり、村の社交場となります
お墓では、ご先祖様のお墓にお供え物をし、お参りをして供養をします
年長の叔母、叔父たちが、先祖のエピソードなどを披露し、先祖に思いを馳せるのが恒例となっています
そうして、お供え物を食べると、先祖様と、お話をしたことになると言われ、だんごやら、スイカ、などを食べるのです。
最後は、全員で記念撮影をしてお墓参りが終わります
家では、義姉が皆の食事を準備していて、そこから会食、お互いの近況を語り合うのです
1年に1度親族が集うのでお墓参りは楽しみな行事です
先祖様が皆をつないでいるのだと、感謝しています
お墓参りが済めば、8月13日は墓火焚きとなります(迎え火)
私の子供の頃は、お墓に行き墓火を焚き(麦わらを焚く)、その残り火を、お墓の前にお供えし、ご先祖様を、(仏様おぶらんしょ)と言っておんぶをして、自宅の仏壇までお連れします。ご先祖様をおんぶしている間は、後ろを振り向いてはいけないと言われているので、真剣です。
無事、仏壇に(仏様降りらんしょ)と言って降ろした時はなんだかほっとしたものです
仏壇は、お盆仕様で、色々な飾りが施されています
そこから、朝晩仏様に、ご馳走をして16日のお昼が済めば、お帰りです
お帰りは、茄子午と言って茄子に割り箸で馬のように足をつけ、しっぽは、トウモロコシのひげをつけ、仏様の乗り物を作ります。そこにご先祖様が乗ってお墓に帰るわけです。それを近くの川に流し、無事、お盆の行事が終わるのです
今でも、お墓参りは、かつての様に行われています
とても情緒的で、いつまでも、伝えられたらお良いなと思っています。